東京高等裁判所 昭和56年(行ケ)44号 判決
一 請求の原因一ないし三の事実は当事者間に争いがない。
二 引用例の記載内容(但し半径臂(い一)及び水平連接子(い三)の断面形状を除く)が審決の理由の要点1のとおりであること、本願装置のロール(6)、ピン(4)が引用例装置の磨砕転子(た)、回動軸(軸串)(と)に対応すること、本願装置の支持体(1)及び接続部片(2)がリングを形成する構成であるのに対し引用例装置がかかる構成を有しない点において相違することは当事者間に争いがない。原告は、審決が両装置における各部位の対応関係を誤認し、右相違点に対する判断を誤り、進歩性を否定した点において違法である旨主張するので、以下において判断する。
1 請求の原因四1の事実は当事者間に争いがない。この事実によれば、本願装置においては、各支持体(1)とその間に挿置連接された接続部片(2)がリングを形成し、ロール(6)の回転により各支持体(1)が受けるねじり力を吸収することによつて、ねじり力に抗する支持構造としての機能を果たしているものということができる。一方、前記の事実と成立に争いのない甲第七号証によれば、引用例装置においては、磨砕転子(た)の回転により生じたねじり力が突起片(ほ一)、(い四)及び軸串(と)を介して曲げ力に変形し、これが各半径臂(い一)とその間に挿置連接された水平連接子(い三)に作用し、この半径臂(い一)と水平連接子(い三)が曲げ力を吸収することによつて曲げ力に抗する構造としての機能を果たしているものと認めることができる。
そうであれば、本願装置の支持体(1)、接続部片(2)も引用例装置の半径臂(い一)、水平連接子(い三)も、ロール(6)又は磨砕転子(た)が粉砕テーブル(7)又は磨砕版(ぬ)上を回転することにより各装置が受ける抵抗を最終的に吸収し、装置全体を強固なものとして支持している点では機能的に格別の差異はない。ただ、本願装置においては、ロール(6)の回転により生じたねじり力がそのままの形で吸収されるのに対し、引用例装置においては、磨砕転子(た)の回転により生じたねじり力が変形し曲げ力として吸収されるにすぎず、右の吸収時における力の性質の相違は、装置全体を強固に支持するという機能の面からみればさして、重要なことではない。
原告は引用例装置の半径臂(い一)、水平連接子(い三)は土台にすぎない旨主張するが、仮にこれらが土台であつたとしても、ねじり力の変形した曲げ力を吸収する点において変るところはないのであるから、原告の右主張は理由がない。
2 右認定の事実によれば、引用例装置の各半径臂(い一)、水平連接子(い三)(前掲甲第七号証によればともに断面箱型であると認められる。)は本願装置の各支持体(1)、接続部片(2)に対応するものというべきところ、前者が後者のようにリングを形成していないことは前叙のとおり当事者間に争いがない。しかし、前掲甲第七号証によれば、前者の外周は別紙図面(二)(2)(3)のとおり全体として円形に近い形状(一二角形)をなし、また、その接続関係は別紙図面(五)に示したとおりであると認めることができる。
そうだとすると、引用例装置の半径臂(い一)と水平連接子(い三)の連接状態は一種のリングに近い形状と認めることができるから、この点において本願装置の支持体(1)と接続部片(2)の連接状態に類似しているものと認められる。
3 かように、本願装置と引用例装置がそれぞれ対応する部位を有し、前者の支持体(1)、接続部片(2)と後者の半径臂(い一)、水平連接子(い三)の有する機能との間に格段の差を見出すことができず、その連接状態も類似しているから、引用例装置の半径臂(い一)の中心方向の長さを短縮することによつて、これを水平連接子(い三)がリングを形成し、ねじり力をそのまま吸収する本願装置の構造に近付ける構成を着想することにさして困難はないものといわなければならない。
したがつて、本願発明における前記相違点の構成は、引用例の記載に基づき当業者が容易になし得るものというべきである(弁論の全趣旨により真正に成立したと認められる甲第八号証も右判断を覆すに足りるものではない。)。
三 以上述べたところによれば、原告主張の取消事由は理由がないものというべきである。
よつて、原告の本訴請求を失当として棄却する。
〔編註その一〕 本願発明の要旨は左のとおりである。
回転粉砕テーブルと、該粉砕テーブル上の材料上を転動するようになつている枢架されたロールとを含有し、前記各ロールが単独の支持体に個別に軸支され、前記支持体が挿置された接続部片によつて接続され、前記支持体及び前記接続部片は各々が箱状切断面を有するとともにねじり力に抗するリングを形成しているエツジランナー型ローラミル
〔編註その二〕 本件に関する図面は左のとおりである。
別紙図面(一)
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別紙図面(二)
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(以下省略)